犬は人間の心を動かす表情を進化で獲得した

英ポーツマス大学の研究者が犬の目の周りの表情を変えて人と行動なコミュニケーションが可能になったとする論文を発表

犬は人と絆を結ぶための筋肉を持っているという論文が話題になっています。2019年6月17日、米科学アカデミー紀要に掲載された論文『Evolution of facial muscle anatomy in dogs(犬の顔面筋の解剖学的構造の進化)』は、およそ3万3000年前に始まったとされるハイイロオオカミからイエイヌへの家畜化の過程で、犬の顔面の筋肉の構造が変化し、人との間で高度なコミュニケーションが可能になったことを示すものです。

ポーツマス大学のジュリアン・カミンスキーらの発表によると、内側眼角挙筋(LAOM)外側眼角後引筋(RAOL)と呼ばれる眼の周りの筋肉はオオカミよりも犬のほうが発達していたことが分かりました。犬の中でもオオカミに近いシベリアンハスキーの犬種ではRAOLがあまり発達していないといいます。

この2つの筋肉によって「AU101」という眼を大きくつぶらで表情豊かに見せる仕草が可能になります。イギリス国内の保護犬シェルターの27頭の犬と保護されている9頭のオオカミを比較したところ、犬は初めて会う人に対して、オオカミよりも遥かに顕著に「AU101」の仕草を見せたことが分かりました。「AU101」のしぐさは、犬の眼を大きく、少し悲しげで幼い「子犬のような眼」に見せる効果があります。犬を保護し、可愛がってやりたいという情緒的な反応を人間から引き出すことができ、シェルターに保護された犬の場合は里親が見つかりやすくなっていると言われています。人と犬との関係の中で、可愛らしい眼の表情を持った犬は人に保護されて子孫を残す確率が高くなり、さらにこの形質が強まったと考えられます。この進化のプロセスは現在も続いているようです。

それだけではなく、犬が眼の周りの表情を高度に変えられることが、人とのコミュニケーションの相互作用を生んだとカミンスキー博士らは述べています。人とのコミュニケーションの中で目の周りの表情を重んじ、眉の動きは言葉への注意を高める手がかりとして働きます。もともとオオカミは他の犬科動物に比べて明るい色の虹彩を持ち、このことで人はオオカミの眼や視線に注意を向けやすくなりました。特徴的な眼を持つオオカミと一緒に生活するうちに、人間同士と同じように視線や眉の動きでコミュニケーションができるという感覚が人間の側に生じ、呼応するようにそうした仕草が上手な種として犬は進化してきたという考えを発表しました。

他の動物はどうなのか?

1996年、米エモリー大学の進化人類学の研究者らは「犬は人の指差しを理解できる」という論文を発表し、反響を巻き起こしました。指差しは「この物体を見よ」という意味で人の幼児と犬は理解できて、チンパンジーは理解できなかったようです。さらにラブラドール・レトリバーで行われた実験は「イヌ科の認知革命」と言われ多くの研究に繋がりました。指差しだけでなく、凝視によって視線を誘導できることや人の表情や言葉に込められた感情を理解できること、公平さや道徳の感覚さえ持っていることが分かりました。この能力のおかげで社会的に複雑なタスクを犬に与えることが可能になったのです。盲導犬、救助犬、麻薬探知犬といった分野で活躍していることがわかります。

このようなことを猫でも実験をはじめました。しかし、猫は犬と社会性が異なるためなかなかうまくいかなかったといいます。猫は警戒心が非常に強いため、実験を行おうとしてもすぐに離脱してしまうということでほしいデータをなかなか取らせてもらえないという問題が発生したようです。

その後、猫は大好きな飼い主の言葉には一定の「説得力」があることが分かりました。多くの猫は扇風機や掃除機のうるさい音が苦手ですが、飼い主が実験室で「扇風機と友達になりましょう」と優しく話しかけると猫は扇風機の傍らでおとなしく横になるという仕草を見せたそうです。このことから犬と同様に猫にも高度なコミュニケーションを持つという研究が進み、進化の過程とともに明らかになりつつあります。

犬については人間と共に共存してきたという部分があることからとりわけ硬い絆のようなものをDNAレベルで持っているということがなんとなく理解できますね。猫に関してはちょっと気まぐれなところや好きな飼い主の言うことは聞くけども、嫌いな人の言うことは聞かないというどうしようもないですね。犬のようにタスクを課すにはまだまだ課題はありそうだな~と思いますね。

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