亀をヒントに酸素無しで動く心臓を実現できるか?


亀は酸素無しで心臓を動かすことができる?

亀が冬眠することはよく知られています。最大6ヶ月もの期間彼ら亀は冬眠をするわけです。どこで冬眠するのか?というのが問題で、当然すぐに見つかる場所に冬眠したら捕食される危険性が伴いますので、見つけにくい場所で冬眠します。あまり知られていないのですが、彼ら亀は池の中や湖の下で冬眠します。水の中で冬眠するものですから、当然のことながら酸素が供給されることはないだろうと考えるのが普通です。このことから、亀を研究している人たちは亀は無酸素でも生きることができる能力があると考えてこれが人間に応用できないか?という課題に取り組んでいます。

酸素環境と心臓の関係性

亀は孵化までの環境に酸素が少なければ少ないほど、成体になった時に低酸素でも生きられるようになるということが従来の研究より知られています。マンチェスター大学の研究チームは、そのメカニズムをかいせきするために、野外から収集してきたカミツキガメの卵を実際に酸素濃度10%という低酸素環境をつくり、その環境下で孵化させて、成体の心臓を調査するという実験を行いました。この酸素濃度10%という環境は、巣穴に産み落とされた卵の中でも一番底側に置かれてしまった卵の環境に非常に似ているというもので、現実に存在しているシチュエーションだそうです。また、対照群としては酸素濃度21%で孵化させたカミツキガメも用意しました。

実験条件と結果

それぞれの条件下で生まれたカミツキガメを生後15~24ヶ月になるまで一般的な大気と同じ酸素濃度環境下で飼育し、心臓から心筋細胞だけを抜き出して、細胞中の細胞内カルシウム・pH・活性酸素などの低酸素耐性に関係している成分をそれぞれ分析しました。

分析した結果、低酸素下で孵化したカミツキガメの心筋細胞は、無酸素の状態でも通常の大気中と同様に動くことが判明しました。加えて、哺乳類などでは酸素濃度が急激に上昇した場合には細胞組織の損傷が見られることがわかっていますが、低酸素で孵化したカミツキガメの心筋細胞は酸素濃度が急激に上昇しても細胞組織に損傷が見られてないということも判明致しました。

研究チームの考察

研究チームは、低酸素家で孵化した亀のゲノムにはエピジェネティック的な変化が生じるとみています。エピジェネティックというのは、DNA変化はしないですが、細胞分裂後も継承される遺伝子発現のことを表現していて、幼少期の低酸素下での経験が細胞分裂しても継承されていて過酷環境下での対応が可能になっているということを主張しています。研究チームのジーナ・ガリさんは「亀と人間の心筋細胞は解剖学的に近しいため、亀が無酸素でも生きる能力のメカニズムを解決できれば人間にも応用できます」と語っています。人間の心臓が酸素欠乏に耐えられるようになれば、心臓発作によって心筋細胞に供給される酸素が断たれても問題なくなったり、臓器移植に対して臓器の損傷を抑えることができる可能性を持つということをコメントしていました。

人間も幼少期に低酸素下で生活すればもしかすると??なんてことは無いでしょうけども・・人間への応用が可能かどうかを知りたいところではありますね。

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